ナルトという漫画をご存知だろうか。内容はバトルものの忍者漫画である。たかが
漫画だろうと思われるかもしれないが、私はこれほど陰謀論的な要素を散りばめた
漫画はないのではないかと思っている。この漫画は1999年から2014年まで
週刊少年ジャンプに連載され全700話をもって完結するといった、かなり長寿の
人気漫画である。

この漫画はいろいろな漫画や小説の影響を受けているのではないだろうか。大枠の
忍者集団同士の死闘という設定は”忍空”という漫画であり、主人公が妖狐と合体
しているような設定は漫画”幽遊白書”のオマージュのように思われる。
また忍者物の漫画を描いている古くからの漫画家、横山光輝、白土三平などの影響も
受けていると思われ、そしてストーリー中の忍者同士の駆け引きや心理戦などは
その老練巧みさ加減からして時代小説家の山田風太郎あたりを読み込んでいるの
ではないだろうか。
さて漫画ナルトのあらすじであるが、主人公はいうまでもなくナルトという少年
忍者である。ナルトは五大国の一つ火の国の木の葉隠れの里という所に住んでいる。
五大国はお互いに敵対していて常に緊張状態にあり各国の忍者はそれぞれの国
の思惑で活動している。そういった時代背景の中、忍者同士はバトルや心理的な
駆け引きで敵の優位に立とうと日々争うのである。そして、かくいうナルトも
一忍者としてその中で奮戦するのだ。
ストーリーは大きくわけて二つのストーリーから成り立っている。一つはナルト
と同じ里の友達であり、ライバルでもある”サスケ”が大蛇丸という悪人の忍者の
元に走ろうとするのを阻止しようと奮闘するストーリーである。
もう一つは、その後の話で世界征服を狙う”暁(あかつき)”という忍者集団と
対峙してバトルを繰り広げ、さらに五大国が暁を倒そうと同盟し大戦にまで発展
するといったストーリーである。
登場する忍者は各々個性豊かな忍術を持っていて、どれも超能力者といった感じ
である。その中で、まずナルトのライバルのサスケに関する陰謀論的な要素を見て
みたい。
サスケはナルトと同じ里の出身者で”うちは一族”という一族の人間である。この
家系は先祖代々”写輪眼”という目が現れ、この目の瞳術にかかった者は幻覚に
陥るというものなのである。

サスケの写輪眼
サスケの他にも、この写輪眼を使う忍者は多数出てくる。この漫画のキーポイント
になっていると言ってもいいのではないだろうか。漫画内での、この目の強調は
シンボリックであり、あのピラミッドのプロビデンスの目を彷彿させるし、人を
暗示にかけ、誘導する闇のテクノロジーを連想させる。またサスケは大蛇丸という
忍者に首元を噛まれ呪印のマークを施される。この呪印によってサスケは大蛇丸の
力を得る事になる。このマーク、何かに似ていないだろうか。そう悪魔の数字
666である。

サスケにつけられた印呪 映画オーメン ダミアンの頭皮の666
映画”オーメン”では主人公の頭皮に666の文字があり、悪魔の刻印を背負った
子として登場している。サスケも呪印の力を得た事によって悪魔のような容姿に
変幻することができる。この6のようなマークは何であろうか。漫画の中で、この
マークは随所に見られる。

ナルト仙人モード 忍者の始祖六道仙人 写輪眼
これは、まが玉を模様として表しているのだろうか。または三つ巴のマークを意味
しているのかもしれない。さらに上記の画像の六道仙人の六という数字も意味あり
げである。六道とは何であろうか。
六道とは人間の業因によって行き巡る六つの世界、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅
道、人間道、天上道の事だそうだ。すべての人は六つの苦しみ迷う世界を永遠に
生まれ変わり、死に変わり、続けるという仏教の教えのようである。6という数字
は、こういった意味も持っているらしい。
あとサスケの首元に、つけられた印呪の666のようなマークに関しては、まさに
現在のテクノロジーで、印呪そのもののようなテクノロジーが存在するのだ。
最近のネットニュースで見たレーザータトゥーガンというものがそれである。
以下はそのタトゥーガンのニュースの抜粋である。
人間の皮膚にバーコードを刻印する機械は既にメイソン系企業でもある
「IBM社」が開発済みなのです。その名も「レーザータトゥーガン」
です。通常の刺青のメカニズムは簡単に言うと道具の先端に付いた針で
皮膚に穴をあけ、穴のあいた皮膚の傷口にインクが入ることで、あのよう
な絵や模様が描けるわけです。一方レーザータトゥガンの場合はレーザー
銃で人間の皮膚細胞に打ち込みます。これを読み取るスキャナーも既に
開発済みです。
このスキャナーの名前は「3666型スキャナー」と言います。ここに
も666という数字が登場しますね。このシステムが世界に導入されると
カード会社は急速に終わります。また人間の自己証明は自らの体に焼付け
られる事になります。焼きつけられる部位は額と右手首だそうです。
このレーザータトゥーガンは人体にバーコードを打ち込んでも目には見え
ません。皮膚に対してなんの影響もないそうです。刻印されたバーコード
にスキャナーを当てると自動的にすべての業務が処理されていく事になり
ます。その世界共通コードが666でその後に国家コード、地域コード
個人コードがつく事になります。
というようなものである。人間の皮膚にバーコードのようなタトゥーを入れて管理
するということであるが、サスケの呪印はこれを暗示しているのであろうか。
666の数字が重なったようなマークのものは西洋にもあり”トリスケル”という。
これは三位一体の概念が形にされたもので神聖なものだとも言われている。

トリスケル
話をナルトのストーリーに戻すが、他にもストーリー中には陰謀論的な要素を持つ
忍術が存在する。ナルトの忍者仲間に”中山いの”という九の一が居るが、この
忍者の術は”心転身”という術で敵の精神に自分の意識を入り込ませせて体を乗っ
取る術である。また中山いのの父親は忍者集団暁との対戦中に忍者部隊に伝令を
伝える任務を担当しており、テレパシーを使って部隊全員に指示を伝える離れわざ
をしているのである。

中山いの 心転身の術 いのの父のテレパシー増幅器
これはテクノロジー犯罪で言えば思考盗聴、生体通信、意識の介入といったところ
ではないだろうか。またこの漫画は国際政治色も打ち出している。五大国がその
勢力争いで、ひしめき合う中でそれらの国の間に挟まった小国の悲劇も描いている。
前述した暁という忍者集団のリーダー”ペイン”は五大国に挟まれた弱小国”雨
隠れの里”の忍者で、大国同士の戦争に、いつも巻き込まれる自国の運命を呪って
いた。そしてそれを終わらせようとして立ち上げたのが暁という戦闘集団であった。

雨隠れの里の暁のペイン

火の国、土の国、風の国に挟まれた雨隠れの里
大国に囲まれて戦場になる小さな国、私達の現実世界で言うなら朝鮮半島の事では
ないだろうか。朝鮮半島は中国と日本に挟まれ過去に両国の戦場の地になっている
のである。古くは秀吉の朝鮮出兵による明国との戦いの時の戦場化、近代では日清
戦争による戦場化である。半島人はこれらの苦難を味わって現在に、いたっており、
いまだ苦い思いを引きずっているのかもしれない。漫画ナルトは、こういった弱小
民族の苦難の投影もしているという事なのである。
そしてそれらの歪みが反日やら集ストに反映されているという事が言えるのかも
知れない。
漫画ナルトは、終盤の方ではかなり大規模な戦争の描写になる。忍者同士の戦い
はもとより、巨大な怪獣のような尾獣という変幻も暴れまわる。忍者ナルトの体
の中に封じ込められているのはその尾獣の一匹で名を"クラマ”という九尾の狐
である。この他にも八匹の尾獣がおり全部で九匹の尾獣が存在する。それらが
忍者集団”暁”の計画の重要な鍵となるのだった。
戦争は前にも言ったように五大国と暁の戦いであるが、時間経過にともない、暁
の本当の首謀者と真の目的が明らかになっていく。暁という集団を影で操っていた
のは”うちはマダラ”というサスケと同族の人物であった。このマダラも写輪眼
を使う事ができる手練である。うちはマダラの真の目的は意外なものであった。
その心中はこうである。 世の中は憎しみに満ちていて戦争が絶えることがない。
この世に弱者と強者、貧富の差、差別などがある限り争いは無くならないという
事で愛だけの世界、成功だけの世界、優しい世界といった各々の個人にとって理想
の世界を造ろうというのが目的であった。彼はこれを”月の目計画”と名付けたの
だった。そしてこの計画を完結させるには外道魔像という巨像に獣尾九匹すべて
封印し十尾という尾獣を復活させ、さらにその十尾を形態変化させて”神樹”を
つくるという事が最終目的であったのだ。その神樹のつぼみが開花したとき花の中
の眼が天上の月に写り”無限月読”が完成するという事である。

うちはマダラ 神樹 瞳術の眼の月
この瞳術の月を見てしまった者は神樹に取り込まれて一生幻覚を見ることになる。
その幻覚の世界は平和な世界であり、幻覚を見ている人にとって楽園のような世界
なのだ。戦争中のほとんどの忍者はこの月を見てしまい、神樹に取り込まれて
しまう。
そしてこの月を見なかったナルトと数人の仲間が、難局を打破しようと最後の戦い
に挑むのであった。

月を見て神樹に取り込まれてしまった人々
楽園のような夢の中で一生過ごすのは一見、素晴らしい事だと思うかもしれないが
もし悪人が悪用して拷問の夢を一生見せられる事になったらどうなるだろう。
全人類が夢の中で拷問の一生を送るなど、まさに地獄ではないだろうか。
またこういった事は現実世界において何を示唆しているのだろう。何かのSFの話
で未来世界では、人間はカプセルのようなものの中に入り人工夢を見せられて一生
を過ごすというような話を読んだことがある。それを管理するのがコンピューター
の人工知能だということだ。ナルトのストーリーは現実社会の未来がコンピューター
に支配、管理されるということを警告しているのかもしれない。
これは都市伝説の一説であるが、”COMPUTER”という文字を6の等差
数列で表すと、ある数字になるという。6の等差数列をアルファベット順に表す
とA=6、B=12、C=18、D=24といった具合だ。これを”COMPUTER”
という文字で表すとC=18、O=90、M=78、P=96、U=126、T=120
E=30、R=108となり、これらをすべてたすと666の数字になるのである。
これは偶然であろうか。ここにも、またいわくつきの666という数字が暗示され
ている。漫画ナルトに出てくる”神樹”はひょっとしたら未来の人間を管理する
コンピューターの事を言っているのかもしれない。
最後にナルトの作者は陰謀論の要素が漫画の中に多く含まれている事をわかって
いるのだろうか。意図があるのか、無意識なのか。また闇の意志を代弁しているの
か。それとも糾弾しているのか。とにかく興味のつきない漫画である。
その他にも私がそうではないか思っている陰謀論的な漫画はまだいくつかある。
それらも、またいつか紹介したいと思う。